医療関係者の皆様へ

局所麻酔下胸腔鏡検査

この検査は胸膜という肺をつつむ膜に発生する疾患の診断のためにおこなうもので、主に胸水の原因を調べるためにおこなっています。

胸水は肺の外の空間(胸腔)に貯まる水のことです。心不全、腎不全、低栄養状態等でも貯まることがありますが、その場合は両側に少量のことが多く、片側に大量に貯まる場合にはそちら側の胸膜になんらかの異常があること考えられます。その「異常」として、細菌性胸膜炎、結核性胸膜炎、癌性胸膜炎、悪性胸膜中皮腫等、種々の疾患が考えられますが、疾患により治療法が異なるため、診断が必要となります。診断のため、まず胸水の検査(胸腔穿刺)をおこないますが、それだけで診断がつくのは約75%で、残りの25%は胸膜の詳しい検査(胸膜の生検)が必要となります。私たちは胸膜の生検を局所麻酔下に胸腔鏡(図1A)を使用しておこなっております。

方法

前日までに入院していただき、内視鏡センターの検査室で局所麻酔下におこないます。

検査直前に点滴をはじめ、痛み止めの筋肉注射をし、酸素吸入を開始します。ベッドに横向きに寝ていただき、超音波で胸腔鏡を入れる位置を確認します。

超音波で確認した位置(肋骨と肋骨の間:肋間)を局所麻酔し、約1.5cm皮膚切開し、ポート(図1B)という径8mmの短い筒の様なものを入れます。そこから径7mmの胸腔鏡を入れ、できるだけ胸水を吸引します(図2A)。その後胸腔内を観察し、壁側胸膜(肋骨で囲まれた胸壁の裏にくっついている胸膜)に異常があれば、そこから生検し(図2B)、細菌培養や病理組織診断にまわします。

検体採取後ポートを抜去し、そこに残っている胸水を排液するため、またしぼんだ肺を膨らませるためにドレナージチューブを留置します。特に問題がなければ検査後約2時間から食事や歩行は可能です。ドレナージチューブは肺が膨らんだことを確認できた時点で(はやければ翌日)抜去します。問題がなければ退院もできます。